上記症状に対して専門的診察・検査の後、適切な診断を行い治療いたします。
必要な方にはMRI(磁気共鳴撮影装置)検査を行い、脳病変の有無をチェックします。上記のような症状を自覚されている方は、当院にお気軽にご相談ください。
頭痛・片頭痛
頭痛薬のCMをよくみかけませんか?頭痛で悩んでいる人が多いことを示しています。日本において頭痛を自覚する人は1年間に4000万人にのぼることが知られており15歳以上の3人に1人は頭痛で悩んでいます。つらい頭痛で仕事や家事ができなかったり、小児や思春期に学校に行けなかったりしても「たかが頭痛ぐらいで」と頭痛が理解してもらえないことも多いようです。悩みは本人だけではなく家族全体にも及びます。頭痛といっても原因は様々で脳出血やくも膜下出血など命にかかわる心配な頭痛(二次性頭痛)のこともあります。これまで経験のない頭痛やいつもと違う頭痛の場合は要注意で受診が必要です。
慢性の頭痛でも正確な診断と治療でつらい頭痛から解放されることも期待できます。皆さんはご自分の頭痛がどのようなタイプかご存知ですか?頭痛といえばズキンズキンと脈打つような痛みで吐き気を伴う「片頭痛」と肩こり首こりとともに締め付けつけられるような痛みとなる「緊張型頭痛」が一次性頭痛のなかの二大頭痛です。有病率としては緊張型頭痛の方が多いのですが、頭痛外来を受診するつらい頭痛の方は片頭痛であることが多いようです。頭痛で日常生活に支障がある、または、寝込むような頭痛が慢性的に起こるような場合は専門医への受診をお勧めいたします。痛み止めですませようとしたり、飲みすぎたりすると頭痛を長引かせたり慢性化させてしまう可能性もあります。医療機関でしか処方できないような薬や適切な生活指導やアドバイスで頭痛はかなり改善します。
頭痛がおこる病気
<一次性頭痛> 片頭痛 緊張型頭痛 群発頭痛 など
<二次性頭痛> くも膜下出血 脳出血 脳腫瘍 髄膜炎 脳動脈解離 など
こどもの頭痛
お子さんが頭が痛いと泣きながら訴えるとご両親は心配になりますよね。ましてや頭痛があるときに嘔吐したり、頭痛で学校に行けなかったりしていませんか?当院でご両親の頭痛を診ているとお子さんの頭痛で相談に来られることも多いようです。
風邪や発熱に伴う頭痛のこともあるのですが、最近はそうでないこどもの頭痛が増えています。保健室で休むほどの頭痛でもケロッとよくなったり、表現力に乏しい子供たちの頭痛は軽く考えられてしまう傾向があります。
頭痛外来を受診するこどもの頭痛はやはり片頭痛が多く、治療に難渋することが多い慢性連日性頭痛(慢性緊張型頭痛あるいは慢性片頭痛)です。
めまい
ぐるぐる回るようなめまい、ふわふわして雲の上を歩いているような感じ、気が遠くなりそうになる、よくクラっとするなどめまいの訴えは様々です。めまいふらつきの原因は様々で耳によるものや血圧変動など循環器によるものや頚性めまいや緊張型頭痛や片頭痛に伴うめまいもあります。自律神経の調子を崩した状態や心因性でもめまいはおこりますし悪化することも多いようです。脳によるめまいは脳腫瘍や脳梗塞や脳出血などの脳血管障害の可能性があります。頭痛やその他の神経症状を伴う場合や急なめまいや進行するめまいや治療していてもよくならないめまいは一度受診をお勧めします。
めまいがおこる病気
脳梗塞 脳出血 良性発作性頭位めまい症 メニエール病 前庭神経炎 頚性めまい
片頭痛 心身のストレス 不整脈 高血圧・低血圧 自律神経障害 貧血 低血糖症 など
物忘れ・認知症
「また同じこと言っている」「さっき伝えたのにまた聞いている」など
家族が認知症かも・・・心配になりますよね。
認知症は一つの病気ではありません。記憶力が衰えたり、計画が立てられないといったような症状がみられる状態を表す総称です。認知症の原因となる病気はアルツハイマー病やレビー小体病などさまざまですし、うつ病などの認知症以外の病気によって認知症と似た状態がひきおこされることもあります。病気によって治療や介護の方法が変わってくるので、最初に原因を正確に知り、その後の道筋を正しくつけることが早期受診・診断の目的であり意義です。認知症は早期発見・早期診断・早期治療がとても重要なのです。原因となる疾患によっては治るものや進行を遅らせることができるものあります。
もしかして・・・認知症?気になった時がご相談のタイミングです。
認知症をきたす病気
アルツハイマー型認知症 脳血管性認知症 レビー小体型認知症 前頭側頭型認知症 など
認知症のような症状をきたす病気
脳腫瘍 慢性硬膜下血腫 正常圧水頭症 てんかん 甲状腺機能低下症 ビタミン欠乏症 うつ病 せん妄 など
しびれ
「手足がジンジンしたり、感覚が鈍くなったりしたときは神経系の病気が疑われます。突然起こった場合に脳のある特殊な部位の脳梗塞や脳出血によって顔面や手足のジンジン感が出現することがあります。手足の限られた領域のジンジン感の場合は脊髄や末梢神経の病気のことがあり専門医の診察が必要です。上肢の場合は頚椎症や手根管症候群などで下肢の場合に腰椎疾患や足根管症候群などによって生じていることがあります。代謝性疾患のなかでも糖尿病は進行してくると末梢神経障害をきたすことがあり足のジンジン感がでてくることがあります。ビタミン欠乏症で手足のしびれが出てくることがあります。また、薬剤性のしびれのことがあり服薬している薬を見直す必要がある場合があります。突然おこったしびれや徐々に進行するしびれは専門医の受診をお勧めします。
しびれがおこる病気
脳の病気:脳梗塞 脳出血 脳腫瘍など
脊椎・脊髄の病気:変形性頚椎症 頚椎椎間板ヘルニア 後縦靭帯骨化症 腰部脊柱管狭窄 脊髄腫瘍 脊髄炎など
末梢神経障害:手根管症候群 足根管症候群 糖尿病性末梢神経障害 多発神経炎 など
顔、手足のまひ
「鏡を見たら顔がゆがんでいる」「口からものがこぼれる・よだれがもれた」「片目が閉じられない、瞬きができない」など顔のまひかもしれません。
顔のまひは脳の病気か顔面神経(がんめんしんけい)のまひでおこります。顔面神経は頭の中にある脳神経で目を閉じる筋肉や口を閉じる筋肉を動かしています。そのため麻痺すると目が閉じられなくなります。口が閉じられなくなるとものがこぼれたり・よだれが漏れるのです。表情を作る筋肉ですから麻痺するとゆがんでみえます。
脳の病気には脳梗塞や脳出血などがあり顔のまひと手足のまひやしゃべりづらいなど他の神経の症状が一緒にあれば可能性が高くなりがあります。脳神経外科など神経の専門家の受診をお勧めいたします。
顔面神経のまひには原因がはっきりしないベル麻痺とウイルス性で起こることが知られています。帯状疱疹ウイルスが関係していることがあり耳周辺などにぶつぶつがでてないか赤くなったりしていないか確かめてみてください。ステロイドの治療や抗ウイルス薬で治療したりリハビリしたりします。手足に力がはいらなくなる原因には脳の病気や脊椎脊髄の病気や末梢神経の病気や筋肉の病気など様々なものがあります。突然右左のどちらか片側の手足に力が入らなくなったら、それは脳梗塞などの脳卒中の可能性があります。すぐに専門の病院を受診するようにしましょう。
顔のまひがおこる病気
脳梗塞 脳出血 脳腫瘍 顔面神経麻痺(ベル麻痺やウイルス性) など
手足のまひがおこる病気
脳の病気:脳梗塞 脳出血 脳腫瘍 など
脊椎・脊髄の病気:変形性頚椎症 脊髄腫瘍 など
末梢神経障害:手根管症候群 橈骨神経麻痺 など
しゃべりづらい
「しゃべりづらい」「言葉が思うように出ない」などの症状は脳の病気でおこることがあります。舌の動きが悪くなるとろれつがまわらなくなります。唇の動きが悪くてもしゃべりにくくなります。このような状態を構音障害といいます。また、頭ではわかっているのに言葉にしようと思っても出てこない状態を失語といいます。ある日突然おこった場合は脳梗塞や脳出血などの脳卒中の可能性がありますので早急な受診が必要です。だんだん悪くなったり、良かったり悪くなったりする場合はパーキンソン病や重症筋無力症などの様々な疾患が考えられます。
しゃべりづらくなる病気
脳梗塞 脳出血 顔面神経麻痺 小脳の病気 パーキンソン病 認知症 口・舌・のどの疾患 など
手の震え
「コップを持つ手が震えます」や「手が震えて字が書きにくい」など手が勝手に震えることを振戦(しんせん)と言います。緊張した時だけ手が震えるのは生理的振戦と呼ばれるもので病気ではありません。震えの原因はホルモンの異常やアルコールによるものやいろいろありますがいつも振戦がおこるようなら脳神経の病気のことがあります。本態性振戦やパーキンソン病などの病気の可能性があります。
手が震える病気
本態性振戦 パーキンソン病 甲状腺疾患(バセドウ病) アルコール性 心因性 など
ものがダブって見える
「車線のセンターラインが二本に見えました」「顔の鼻が二つあるように見える」
ものが二重に見えることを複視(ふくし)といいます。片眼で見るときれいに見えて両眼で二重に見える場合は眼の病気ではなく眼を動かす筋肉や神経や指令を出す脳の病気の可能性があります。脳神経の中には目を動かす神経があり、これらが障害されると目の動きが悪くなり複視が起こることがあります。糖尿病による神経障害や外傷性におこったりします。突然起こった場合に脳動脈瘤(こぶ)が破裂寸前の警告サインのことがあり、複視と眼瞼下垂が突然起こった場合は急いで受診してください。脳梗塞でも起こる可能性があり専門医の受診をお勧めします。その他重症筋無力症や甲状腺疾患でもおこることがあります。
ものがだぶってみえる病気
脳梗塞 脳出血 脳動脈瘤 頭部外傷 脳神経麻痺(動眼神経麻痺・外転神経麻痺) 糖尿病 重症筋無力症 など
頭部のけが
頭のけがは赤ちゃんからお年寄りまで年齢問わず起こります。赤ちゃんの転落による頭の打撲や中高生になるとスポーツなどでの強い衝撃を受ける機会が増えます。「こぶができたら大丈夫」ということはありません。たんこぶが大きい場合は強い衝撃だったことが考えられます。頭蓋骨の骨折や頭の中の出血を考え検査を受けたほうがいいでしょう。ぐったりしていたりひきつけを起こしている場合はすぐに医療機関に行く必要があります。強い衝撃を受けた場合脳震盪を起こしている可能性もあります。記憶があいまいだったり様子がおかしければすぐに検査を受けさせてください。高齢者は転倒する機会が増え頭を打つ機会が増えます。高齢者が頭や顔を打撲して1~2か月たってからまれに起こるのが慢性硬膜下血腫です。硬膜という脳を包む膜と脳の間にゆっくりと血が貯まります。「徐々に進む頭痛や頭重感」「手足のまひや脱力感や歩き方がおぼつかない」「急に進む物忘れ」「けいれんをおこす」「ぼっとしている様子の軽度意識障害」などの症状が出現するのが特徴です。血液のサラサラの薬を服用している方や飲酒量の多い方に起こりやすいので注意が必要です。最後に、心配な時や判断に迷ったら受診することをお勧めします。
頭のけがでおこる病気
脳震盪 頭蓋骨骨折 脳挫傷 急性硬膜下血腫 外傷性くも膜下出血 慢性硬膜下血腫 など
顔が痛い、ぴくつく
顔の筋肉を動かす運動神経は顔面神経で、顔の痛みを感じる感覚神経は三叉神経(さんさしんけい)といいます。顔面けいれんは顔がぴくぴく動く病気で、三叉神経痛は顔面が激しく痛む病気です。これらの病気は同じような原因で起こることがわかってきました。顔面神経と三叉神経は脳の脳幹部というところから出て頭蓋骨の中を通って顔に広がります。これらの神経が脳から出たすぐあとで圧迫されると顔面けいれんや三叉神経痛がおこるのです。神経を圧迫するのは脳の血管と脳腫瘍です。
顔が痛いとき
顔が痛くなる病気は様々でたくさんの病気があります。なかでも最もつらい痛みになるのが三叉神経痛です。片側のほほやあごあたりにびりっと電気が走ったような電撃的な痛みがおこります。洗顔や歯を磨いたりするとき起こってしまうことがあります。あごのあたりにおこったときは、歯の痛みと間違えられて歯の治療を受けたり抜かれたりしてしまう人も少なくありません。脳神経外科で正確な診断をしてもらう必要があります。抗てんかん薬で治療を始めます。ほとんどがこの薬でコントロールでき、困らないようにできます。薬をたくさん服用しても治らないときや副作用で飲めないときや痛みで食事がとれなくなって痩せてくるような場合は手術で治療します。
(ちょっとひとこと:のどの奥の痛みで飲み込むときに電撃的な痛みが起こる舌咽神経痛という病気があります。これも同じような原因でおこることがわかってきました。)
そのほかウイルス性の神経炎でもおこることがあります。帯状疱疹ウイルスが三叉神経に感染すると三叉神経に似たような痛みが生じます。ウイルスの治療と神経の痛みを和らげる薬での治療を行う必要があります。他にも顔の痛みを起こす病気はたくさんあり、原因がはっきりしない非定型的顔面痛や副鼻腔の腫瘍・炎症や歯や顎骨の病気など多岐にわたります。
顔が痛くなる病気
三叉神経痛 非定型顔面痛 副鼻腔炎 など
顔がぴくぴく勝手に動くとき
顔が勝手に動いてしまうときは二つの病気が考えられます。一つは顔面けいれんで、もうひとつは眼瞼(がんけん)けいれんです。顔面けいれんは顔の片側全体が動くのが特徴で、眼瞼けいれんは両側の瞼(まぶた)が不規則に勝手に動きます。目元がぴくぴくすることで始まることが多いですが、目元や口元が動くときは顔面けいれんです。顔面けいれんは症状が軽く日常生活に困らないときは放っておいてかまいません。命にかかわるような病気ではありません。人前で顔が勝手に動いてしまうのはつらいものなので治療する場合もあります。利点欠点はありますがボツリヌス毒素の皮下注射で治療や、脳神経外科で手術することによって治すことができます。気になるときは脳神経外科でご相談ください。間違えてはいけないのが顔面神経麻痺の回復した後の顔面の病的共同運動です。口を動かすと目が閉じる、瞬きすると目と口が勝手に動いてしまいます。顔面麻痺になった患者さんは受診時にお伝えください。瞼(まぶた)特に下瞼が小さく筋肉がぴくぴくすることがありミオキミアかもしれません。目の疲れなどで起こるものでほっておいても治ります。
顔がぴくつく病気
片側顔面けいれん 眼瞼けいれん など
血圧が高い
高血圧は日本では4300万人と最も患者数の多い生活習慣病です。
高血圧はサイレントキラーと言われるように、自覚症状はほとんどあらわれませんが長い時間をかけて動脈硬化を進行させます。症状がないからといって高血圧を放っておくと死亡や寝たきりの原因となる脳卒中や心筋梗塞に突然なることがあります。また、徐々に腎機能が低下してしまいます。
血圧が高ければ高いほど脳卒中のリスクは高まるといわれています。脳卒中予防のためには高血圧管理は非常に重要であるといえます。
脳は大丈夫?などの不安
「頭がぼっとしている・・・」
「頭がなんとなく変な感じ・・・」
「家族が脳梗塞やくも膜下出血だけど私は大丈夫かしら・・・」
「年齢も年齢だし脳は大丈夫かな・・・」
「脳のことは心配だけど大きい病院を受診するのは気が引ける・・・」
そんな不安や相談におこたえできるのが脳のホームドクターであるクリニックの役目と考えます。大切なあなたの脳を守るためにもご相談ください。
とくに50歳を超えた方は頭部MRI検査をお勧めいたします。
脳や首の血管の病気
もやもや病
頭の中の血流を供給する主たる血管である内頚動脈(ないけいどうみゃく)が右左両方とも進行性に狭くなったり閉塞していく病気です。頭の中に網のように細かい異常な血管網が生じるもやもや病。こどもや女性に多く原因は不明です。この病気があると脳梗塞や脳出血が起こる危険性が高くなります。
脳動脈解離(かいり)
脳の動脈の壁が裂けて離れた状態になります。血管の内側が裂けて詰ると脳梗塞に、血管の外側に裂けて瘤ができ破裂するとくも膜下出血になります。日本人には椎骨動脈(ついこつどうみゃく)と呼ばれる後ろ側の血管に解離が起こることが多いことが知られています。比較的若い(40歳前後)の男性に多いといわれています。痛みのみで発症することも多く後頭部や後頚部の痛みには注意が必要です。
脳動静脈奇形
硬膜動静脈瘻
頚部頸動脈狭窄 ほか
脳卒中
脳卒中にどのような思いをお持ちですか?当院を受診される多くの方が脳卒中を心配されています。脳卒中は日本人の死因の上位で寝たきりになる疾患の第1位なのです。私たちが最も想像したくない自分の老後、それは「寝たきりの自分」ではないでしょうか?いつまでも若々しく笑顔で過ごすそんな老後を実現したいものです。当院は脳卒中を予防することに力を注いでいます。そのためには生活習慣病の管理が必要です。
脳の組織が壊れる脳卒中には
・脳の血管が詰まって起こる脳梗塞と
・血管が破れて出血する脳出血やくも膜下出血
があります。
脳卒中の5つの症状
□片側の手足・顔面半分の麻痺・しびれがおこる(手足のみ、顔のみの場合もあります)
□ろれつが回らない、言葉が出ない、他人の言うことが理解できない
□片方の眼が見えない、視野の片側が欠ける、ものが二重に見える
□力があるのに立てない、歩けない、ふらふらする
□経験したこのないような激しい頭痛がする
突然起こる症状に要注意です!
くも膜下出血とは
くも膜下出血は「脳動脈瘤」と呼ばれる脳の血管にできた瘤(こぶ)が破裂することでおこります。激しい頭痛や意識障害や呼吸障害が起こり、命にかかわることも少なくありません。
高血圧・喫煙・過度の飲酒は危険因子です。
脳出血とは
脳出血は主に「高血圧」が原因で脳の内部の血管(穿通動脈)が破れます。血の塊が脳の内部にでき脳の組織を圧迫して破壊します。麻痺などの神経症状が出ることが多く、場合によっては意識障害が出ることもあります。
高血圧が原因で過度の飲酒も危険因子です。
脳梗塞とは
「ラクナ梗塞」・「アテローム血栓性脳梗塞」は脳の血管が動脈硬化で狭くなって起きます。「心原性脳塞栓症」は脳の外から流れてきた血栓が脳の血管に詰まって起こります。心房細動などの不整脈や心疾患が原因で起こり、梗塞巣が大きく、最も重症になりやすいタイプです。
【脳梗塞を引き起こす因子】
高血圧・脂質異常症・糖尿病・心房細動などの病気や、喫煙・多量飲酒などの生活習慣に注意!
脳梗塞の再発予防 ~3つの柱~
1.血栓の予防
2.危険因子の管理・生活習慣の改善
・高血圧 |
ラクナ梗塞・抗血栓療法中 130/80mmHg未満 脳の太い血管が細い場合 140/90mmHg未満 |
・脂質異常 |
LDL(悪玉コレステロール)120mg/dL未満 HDL(善玉コレステロール)40mg/dL以上 中性脂肪 150mg/dL未満 |
・糖尿病 |
空腹時血糖 130mg/dL未満 随時血糖 180mg/dL未満 HbA1c7.0%未満 (これらは糖尿病の患者さんの治療目標と同じ) |
・生活習慣の改善 |
|
脳梗塞再発予防において生活習慣改善の柱になるのは、禁煙、節酒、健康的な食事、適正体重維持、運動の5つです。
3.定期検診
脳動脈瘤
脳の血管の一部がこぶ状に膨らむと脳動脈瘤になります。破裂するとくも膜下出血がおこります。くも膜下出血を起こすと約3割が命を落とし、命にかかわるだけではなく一命をとりとめても介護が必要になる可能性もあります。
破裂しないでとどまっている状態を未破裂脳動脈瘤といいます。未破裂脳動脈瘤は状態によって破裂する危険性が異なります。日本脳神経外科の研究では、こぶが大きいほど破裂しやすいことがわかっています。
くも膜下出血の発症を防ぐために、未破裂脳動脈瘤の破裂を抑える治療が勧められます。症状がない場合でも、脳動脈瘤の大きさが5〜7mm以上あれば治療が検討されます。それより小さくてもこぶの形がいびつだったり、破裂しやすい場所にある場合に治療が検討されます。主な治療法にはクリッピング術(開頭手術)とコイル塞栓術(脳血管内治療)があります。ただし、脳動脈瘤はすべてが治療対象ではなく高齢者やその他の身体疾患をお持ちの場合や小さな脳動脈瘤は経過観察も選択肢のひとつです。経過観察する場合は危険因子である喫煙・大量飲酒をさけて高血圧管理しながら6〜12か月ごとの頭部MRA検査による定期的評価を行います。また、手術後の定期検診にも対応しておりますのでご相談ください。
脳腫瘍
脳腫瘍とは頭の骨(頭蓋骨)のなかに生じるできもの(腫瘍)のことです。
脳そのものから発生する腫瘍と脳を包む膜や脳神経、下垂体などから発生し脳を圧迫するように発育する腫瘍などがあります。また、体の他の部位のがんが転移してきた転移性脳腫瘍があります。脳腫瘍にも良性腫瘍と悪性腫瘍があります。脳腫瘍は子供からお年寄りまでどの年代にも生じます。
症状は頭痛、嘔吐、視力障害(目がかすむ)があらわれます。
これらの症状は脳腫瘍がある程度大きくなると頭蓋骨の中の圧があがることでおこる頭蓋内圧亢進症状とよばれる症状です。朝起床時の頭痛や、食事と関係なく悪心を伴わずに吐く場合は頭蓋内圧亢進が疑われます。
けいれん発作も脳腫瘍の初発症状として重要です。
麻痺や視野異常や言語障害、性格変化など脳腫瘍が発生した部位の働きが障害されることで様々な症状が出現します。
ホルモンの症状(無月経、願望や体型の変化など)が下垂体腫瘍で過剰にホルモンが産生されると起こります。
脳腫瘍の診断された場合は適切な専門施設にご紹介させていただきます。
てんかん
脳が生きている限り赤ちゃんからお年寄りまでてんかんを発症する可能性はあります。てんかんは突然脳が過剰な興奮状態になり様々な症状を引き起こす病気です。意識を失ったりけいれんをおこしたりします。体の一部が勝手に動く発作やぼんやりするだけの発作や他人には理解できない感覚だけの発作もあります。てんかんの診断がついた場合一般的には薬で6割手術を含めると8割治るといわれています。血糖や塩分のバランスが崩れて全身けいれんが起こったり、意識消失が失神だったり、心因性のけいれんなどてんかんと紛らわしい病気もあり正確な診断が必要です。おとなになって発症するものは脳腫瘍や脳梗塞、脳挫傷、認知症などが原因であることが多いようですので専門医の診断が必要です。
生活習慣病
生活習慣病とは食事・運動・休養・喫煙・飲酒などの生活習慣がその発症や進行に関与する病気のことを指します。高血圧・糖尿病・脂質異常症・脳卒中・心臓病・肥満など健康に大きく影響するものが多いです。
高血圧・糖尿病・脂質異常症は脳卒中や動脈硬化の主要な原因です。そして脳卒中は日本人の死因の上位であり、寝たきりの原因の第一位です。“人間は血管から老いる”といわれています。健康長寿のためにも、また、かけがえのない脳を守るためにも脳動脈の血管が傷む前から生活習慣を見直しておきたいものです。
高血圧
診察室血圧が140/90mmHg以上は高血圧です。最近血圧を下げるときに目標とする値が変わりました。75歳未満の場合の家庭血圧の降圧目標は125/75mmHg未満となりました。健康を維持するためにも降圧目標がより厳格になったということです。
脂質異常症
LDLコレステロール(悪玉コレステロール)が140mg/dL以上、HDLコレステロール(善玉コレステロール)が40mg/dL未満、中性脂肪が150mg/dL以上は脂質異常症です。
糖尿病
当院では脳卒中の予防のために必要な検査である血液検査・血圧測定やABIと呼ばれる動脈硬化の評価・頚部血管エコー検査・脳と頸動脈のMRI検査が可能です。
脳卒中予防の観点から生活習慣の見直しや生活指導を含め適切に診断治療していきます。