頭痛
頭痛専門医が総合的に頭痛診断します
診断
・頭痛に関しての問診票
・神経学的診察
・頭部MRI検査 必要時その他検査
治療
・頭痛診断に基づき頭痛の原因や起こり方をわかりやすく説明します。
・必要な場合はそれぞれの頭痛に適した薬で治療します。
・慢性化している場合は頭痛ダイアリーをつけていただき頭痛の誘因を探り治療効果を見ながら適切な治療を行います。
・服薬治療と同時に頭痛の減らし方の指導を行い頭痛で悩まないでいいようになることを目指します。
頭痛診断

頭痛でお悩みの方へ

頭痛はつらい症状です。その頭痛我慢しないで!
寝込むほどの重度の頭痛でも「いつものことだから」とあきらめていませんか?一人で何とかしようと頑張らなくていいんですよ。

・脳腫瘍や脳出血などかもしれないと心配している方
・頭痛の原因を知りたい方
・検査で異常はないと診断されたけど頭痛がよくならない方
・頭痛に悩まされているけど上手に対処ができずこじらせてしまっている
・市販の薬を服用しても効かない方

「たかが頭痛」と思わず、まずは頭痛の専門医に相談することをお勧めします。
おとなの頭痛

一次性頭痛

片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛など、原因となる疾患がないのに起こる頭痛。繰り返し頭痛が起こる。
本人がつらいと感じて、生活に支障があれば治療の対象です。

二次性頭痛

くも膜下出血、脳出血、脳梗塞、脳腫瘍、髄膜炎などに伴う頭痛。何らかの器質的疾患があるために二次的な症状として起こる頭痛です。見逃せば生命にかかわるような疾患が原因の場合もあります。
二次性頭痛を疑うポイント
□突然の頭痛
□今まで経験したことのない頭痛
□いつもと様子が異なる頭痛
□頻度と程度が増していく頭痛
□50歳以降に初発の頭痛
□運動麻痺や複視など神経症状を伴う頭痛
□発熱や首が硬くなる症状を伴う頭痛

緊張型頭痛

・持続する
反復性緊張型頭痛は1か月に15日未満、慢性緊張型頭痛は毎日のように起こる
・頭の両側か頭全体、後頭部が痛む
・ぎゅっと締め付けられるような痛み、重苦しい鈍痛
・吐き気はあっても実際吐くことはない
・体を動かすと少し楽になる

群発頭痛

群発頭痛は頭痛外来で診る最強の頭痛の一つです。群発頭痛は重度の一側性の痛みが眼周囲~前頭部、側頭部にかけての激しい頭痛が15分から180分間持続します。数週から数か月、多くは1〜2カ月の間に群発して起こります。強烈な痛みで「えぐられるような」「突き刺される」「焼けるような」などと表現されます。頭痛と同側の眼が充血したり涙が出たり、鼻水が出たり鼻が詰まったりします。前額部(おでこ)や顔面の発汗や紅潮や瞼が下がったりします。これらは必ず頭痛の側で起こります。
頭痛外来に来られる患者さんの多くは正確な診断を受けるまでに複数の医療機関を受診し、かなりの年月を有しているとされています。群発頭痛の診断は症状発現から平均6.6年かかるとの報告もあります。一方、最近では患者さん自身がインターネットで調べて群発頭痛の自己診断をし、頭痛外来を探して来院するケースも増えています。
診断のヒントになる特徴
・頭痛は厳密に一側性(両側性はない。群発期によって左右交代は15%程度)
・飲酒で発作が誘発される(患者さんは群発期に自主的に禁酒している)
・深夜に起こりやすい(片頭痛は深夜はまれ、覚醒時におこる)しかし半分は昼間にも起こる
・患者さんは流涙などの自律神経症状をあまり気にとめていないことがある
・片頭痛の患者さんは頭痛発作時に動かずにじっとしたいのに対して、群発頭痛はのたうち回る、歩き回る、頭をたたくなどの行動をとることが多い
・二次性頭痛に注意が必要!副鼻腔炎や緑内障など群発頭痛とそっくりの頭痛を呈する
群発頭痛の治療
群発頭痛の発作時の対症的治療で特に有効な治療はスマトリプタン皮下注射と酸素吸入です。酸素吸入する場合は100%酸素で毎分7〜10Lを15分間吸入すると、15分以内に70%の患者の頭痛が寛解するといわれています。注射薬に代替するものとしてやや効果が劣りますがスマトリプタン点鼻薬(保険適応外)があります。予防薬に関しては群発頭痛に対してはベラパミル(ワソラン)とステロイドが適用外使用が認められています。

薬の飲みすぎで起こる頭痛かもしれません!

頭痛薬を飲んでいるのに効かなくなってきた。市販の鎮痛薬を飲んでいるのに痛みが軽くならずに頭痛の頻度が多くなっている場合に「薬剤の使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛)」の可能性があります。月の半分以上頭痛があり鎮痛薬を10日以上服用している場合は早めに頭痛の専門医に相談してください。

・頭痛が1か月に15日以上
・最近早朝の頭痛や頭痛頻度が増えた
・頭痛薬の効きが遅く、すぐに頭痛がぶり返す
・頭痛薬を3か月以上定期的に飲んでいる
・頭痛に対する不安から予防的に鎮痛薬を飲んでいる

これらに当てはまる場合、「薬剤の使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛)」の可能性があります。

頭痛専門医の受診をお勧めします。服薬指導が必要です。
鎮痛薬の飲みすぎないようにしましょう!
鎮痛薬を予防的に飲むのは避けましょう!

薬剤の使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛 MOH)とは?

「薬剤の使用過多による頭痛」とは鎮痛薬を飲みすぎたことで起こる頭痛です。
以前は「薬物乱用頭痛」とされていましたが、薬物という言葉が違法薬物を想起させ誤解を招きかねないために、「薬剤の使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛 MOH)」と改められた経緯があります。
頭が痛いと頭痛薬を服用するのはあたりまえかもしれません。しかし、頭痛薬を飲みすぎると、逆に頭痛を悪化させることがあります。
よくある例として、片頭痛の方が月に1、2回の頻度で起こり市販の鎮痛薬を服用すれば治るため鎮痛薬を常用するようになっていきます。仕事が忙しくストレスが多くなったり、育児や睡眠不足、台風シーズンや生理が重なったりで頭痛が増えたのをきっかけに市販の鎮痛薬を多く飲むようになり、結果としていつも頭が痛い状態ができあがります。本人としては、頭痛が増えたことで、これまで効いていた薬なので少し多く飲めばいいだろうと服薬回数が増えたり一度に何錠も服用したりして悪循環に陥ってしまいます。

「薬剤の使用過多による頭痛」の特徴

月のうち15日以上頭痛があり、鎮痛薬などの頭痛薬を月に10日から15日以上内服することを3か月以上続けて定期的に服用していることです。朝から頭が痛いことが多かったり、頭痛薬が効いても、すぐにぶり返して痛くなったり、頭が重い時間がながくなったりします。頭痛に悩まされてくると、頭痛に対する不安が大きくなり、念のためにという気持ちで頭痛薬を予防的に服用することも特徴です。

「薬剤の使用過多による頭痛」の原因

最近の国内の研究からも複合鎮痛薬(ほとんどはOTC医薬品)が原因になっていることが多いことがわかりました。市販薬のなかには鎮痛成分以外にカフェインや鎮静成分などが含まれていることがあります。そういった成分が、時に頭痛を引き起こす可能性があります。医師が処方する複合鎮痛薬やトリプタンなどでも原因薬剤となりえます。また、鎮痛薬を繰り返し服用することで、脳が痛みに対して過敏になり、ちょっとした刺激でも頭痛が起こりやすくなるのではないかといわれています。
頭痛外来をしているとたくさんの患者さんがこの頭が痛いから頭痛薬を服用することはあたりまえのことかもしれません。

「薬剤の使用過多による頭痛」の治療

治療において重要なのは、鎮痛薬など頭痛薬を過剰に連用することがいかに体に重大な弊害を起こすかをよく理解してもらうことです。
「頭痛の診療ガイドライン2021」では薬剤の使用過多による頭痛 MOHの治療の原則は、(1)原因薬剤の中止、(2)薬剤中止後に起こる頭痛への対処(反跳頭痛)、(3)予防薬投与とされている。
薬剤の使用過多による頭痛 MOHの場合、原因となっている鎮痛薬の連続服用をやめるだけで頭痛の頻度が減る人もいます。頭痛を減らすためには、普段の頭痛が片頭痛なのか緊張型頭痛なのか、あるいは脳の病気によるものかしっかりと診断したうえで、その頭痛に適したより効果の長い薬剤を使用し予防薬を処方することで治療を行います。近年、薬剤の使用過多による頭痛 MOHにおいてもCGRP関連抗体薬が予防薬として非常に有効であるとのデータが報告されています。
片頭痛の場合には、ストレスや睡眠不足、空腹、飲酒など生活習慣の問題が頭痛の誘因になることがあります。緊張型頭痛の場合に長時間のパソコン作業や下向きでの作業なども原因となることがあります。生活習慣や職場環境などしっかり見直すことも必要です。
頭痛ダイアリーをつかいながら頭痛薬の使用頻度を確認することも重要です。皆さんが長い間悩まされてきた頭痛を、少しでも軽くするためにも頭痛外来でご相談ください。

いろいろな頭痛

カフェインと頭痛

カフェインをとると、眠気や疲労感が減り、集中力や思考力が増すといわれています。カフェインはコーヒーや緑茶のみならず、栄養ドリンクや市販の解熱鎮痛薬、風邪薬などにも含まれており、現代人は知らないうちに大量のカフェインを摂取しているかもしれません。
カフェイン摂取に伴う頭痛のパターンとして2種類あって、摂取しすぎてカフェイン中毒になった時と、急にやめてカフェイン離脱が起きた時です。
カフェイン中毒になると頭痛や動悸、震え、下痢、吐き気などの症状が出てくることがあります。市販薬で無水カフェインというものが入った眠気覚ましの薬剤もありますが、中毒リスクが高まるので用法用量を十分に守る必要があります。カフェイン離脱は、急にカフェイン接種をやめると半日から一日ほどで頭痛、眠さ、だるさやイライラなどが生じます。
皆さんがカフェインといえば思い浮かぶものはコーヒーやお茶ではないでしょうか。参考までにおおよそのカフェイン含有量をご紹介いたします。
コーヒーで約60mg/100ml、エナジードリンク類で約32-300mg/100ml、玉露で約160mg/100ml、せん茶20mg/100ml、ウーロン茶で約20mg/100ml、紅茶で約30mg/100mlといわれています。
医学的にはカフェインは穏やかな興奮作用があり、血管に緊張を与え、片頭痛を楽にすることが考えられます。片頭痛の患者さんがコーヒーを飲むと頭痛が少し楽になるといわれる方もいます。近年ではカフェイン自体の鎮痛効果も証明されているようです。一方でカフェイン200mg/日以上の連用は片頭痛の誘因や離脱性頭痛の原因となります。頭痛外来の現場で問題になるのは、カフェイン配合の複合鎮痛薬で長期連用により依存性が生じたり、薬剤の使用過多による頭痛:薬物乱用頭痛(MOH)の原因となったりすることです。また、国際頭痛分類の中にはカフェイン離脱頭痛と分類される頭痛もあります。これは2週間を超えて1日200mgを上回るカフェインの定期的な摂取があり、それが中断された後に、24時間以内に発現する頭痛です。その後摂取がなければ7日以内に自然に消失します。
私もコーヒーが大好きで朝一番のコーヒーの香りや味を楽しんでいます。ただし飲みすぎには注意しましょうね。

可逆性脳血管攣縮症候群(RCVS)による急性頭痛

この頭痛は非常に重要な頭痛ですが、認知度が低く診断に至らないことがよくあります。性行為、労作、排便、感情、入浴、シャワーなどがしばしば引き金になり、典型的には2週間にわたって雷鳴頭痛を繰り返します。雷鳴頭痛とは突然発症し1分未満で痛みの強さがピークに達する頭痛で5分以上持続するものをいいます。雷鳴頭痛を起こす代表的な疾患が”くも膜下出血”です。
「夫とけんかして感情が高ぶり激しい頭痛が突然起こりました」、「シャワーを浴びていると突然激しい頭痛が起こりました」、「その後排便のたびに激しく頭が痛みます」。頭痛はRCVSの唯一の症状、もしくは出血性または虚血性脳卒中に先行する警告症状のことがあります。RCVSの血管の異常所見として、動脈の収縮と拡張が交互に存在する数珠状外観を呈するとされています。しかしながら、診断を困難にしている一つの理由は発症当初の頭部MRI、MRAなどの検査結果で血管の異常を認めない場合があるからです。RCVSを疑う場合は頭痛発症後2〜3週間でMRAを繰り返し行う必要があります。頭痛専門医がこの疾患を理解し診断治療を行う必要があります。
RCVSの特徴としては20〜50歳の女性に多いとされており、片頭痛持ちの方に多く、重度の片頭痛発作とRCVSの鑑別が困難なことがあります。原則的には片頭痛の治療として用いられるトリプタンは使用しないほうがいいでしょう。普段効果があるトリプタンで頭痛が悪化することがあり、その場合はRCVSを疑ったほうがいいと考えられます。RCVSは長くても3か月を超えることはありません。約30%以上の患者さんで経過中にくも膜下出血や脳出血、脳梗塞などの脳卒中を起こすことがあり厳重な経過観察を行う必要があることはいうまでもありません。シャワーや排便などが誘因となり激しい頭痛(雷鳴頭痛)が繰り返す場合はRCVSを疑い頭痛専門医を受診したほうがいいでしょう。

頭痛に関するQ&A

吐き気を伴う頭痛は危ないと聞きますが、大丈夫でしょうか?
頭痛に吐き気が伴う場合は片頭痛のことが多いです。緊張型頭痛では吐き気は起こりません。片頭痛は痛くなる前に生あくびをしたり、なんとなく気分が悪くなったり、首や肩が凝ってきたり、疲労感、めまいや何か食べたくなったりする方がいらっしゃいます。このような症状が片頭痛の予兆として起こることがあります。頭痛に伴って吐き気も起こります。同じような頭痛発作が繰り返し起こり、頭痛に吐き気を伴って寝込むようにつらいとなると片頭痛が考えられます。これまでにない頭痛で初めて吐き気を伴う場合は危険な頭痛のこともありますので医療機関を受診することをお勧めします。
両側のこめかみが締め付けられる頭痛で動けなくなり1~2日寝込んでしまいます。緊張型頭痛と診断され治療してもよくなりません。
頭の両側が痛くても片頭痛かもしれません。片頭痛の頭痛は、発作的に起こり4~72時間持続し、片側がズキンズキンと脈打つような拍動性の痛みを特徴としています。片頭痛の名称の由来は片側が痛むこととされていますが、実際は4割近くの患者さんは両側性の頭痛も経験されています。また、締め付けられるような非拍動性の頭痛発作もあります。頭痛発作中は感覚が過敏となり、ふだんは気にならないような光、音、匂いを不快と感じる方が多いようです。片頭痛は頭の中の痛覚過敏があるため、「体を動かすとひどくなる」動作過敏があり、緊張型頭痛はむしろ「体を動かすと楽になる」傾向があります。どちらかわからないときにジャンプしたり頭を振ったり、階段昇降、深々とおじぎしたりの動作で頭痛が悪化するのが片頭痛と考えられます。両者が混在していることも多くありますが、片頭痛の治療がうまくいくことで楽になることがありますので頭痛診断は重要です。頭痛で日常生活に支障がある方は頭痛専門医に相談することをお勧めします。
頭が痛くなる時に視界にギザギザ模様が見えることがありますが、大丈夫でしょうか?
閃輝暗点(せんきあんてん)とよばれる片頭痛の前兆の可能性があります。
光る点や線が見えたりするほか、ギザギザの光る模様やオーロラのような光や万華鏡のような模様、あるいは視野の一部にモザイクがかかったように見えにくくなります。通常は5~20分にわたり徐々に進展しながくて60分くらい続きます。前兆の後に頭痛発作がくることが大半です。初めて見えた場合やいつもと違う見え方になった場合は病院受診をお勧めします。
閃輝暗点のみでその後の頭痛が起こらない場合があります。片頭痛の分類でいうと「典型的前兆のみで頭痛を伴わないもの」になります。頻度が少ない場合は様子観察可能ですが、閃輝暗点のみが頻発する場合は片頭痛の予防薬で治療することがあります。
頭が痛いとき、まわりで子供が騒いだり声をかけられたりするとイライラしてしまいます。
片頭痛の音過敏と考えられます。片頭痛の時には普段気にならないような人の話し声やテレビの音や子供の騒ぐ声などがとても不愉快に感じます。家族が優しく声をかけてくれてもわずらわしく感じるものです。片頭痛の特徴の一つで、そういうものだということを理解して、静かに放っておいてくれるように、あらかじめ説明しておきましょう。片頭痛の最中の受診の際は、残念ながらわれわれの説明もうっとうしく感じるかもしれません。
生理の時に頭が痛くなります。頭にも月経痛が起こるのですか?
生理(月経)が始まる1~3日前になると必ず頭痛がすると言われる方がいます。頭に起こる月経痛というよりは、これは月経時の片頭痛です。月経に関連した片頭痛は普段の片頭痛より痛みが強く、発作の時間が長い傾向があります。鎮痛薬を服用するだけではなく片頭痛として治療をしたほうが楽にできる可能性があります。専門医に相談してみてください。
頭痛の時に血圧を測ると高いのですが、頭痛と高血圧は関係ありますか?
20歳代から頭痛があり20~30年来の頭痛歴があり市販薬でやり過ごしていた方が最近は薬が効かなくなったり頭痛の頻度が増えてきたりすることがあります。健診で高血圧を指摘されたり、頭痛の時に血圧測定すると血圧が上がっていると心配されることがありますが、高血圧によって頭痛が起こることはめったにありません。ただし、血圧が著しく上昇した場合は高血圧性頭痛が起こることがあります。しばしば両側性で拍動性であり、通常収縮期血圧(上の血圧が180mmHg以上)または拡張期血圧(下の血圧が120mmHg以上)が急激に上昇している間にみられ、また、血圧が正常化した後は軽減するとされています。
意識障害や視覚異常、けいれんなどを伴う激しい頭痛と高血圧が続く場合は、高血圧脳症の可能性があり緊急の対応が必要です。また、突然起こる激しい頭痛がくも膜下出血などの脳卒中であれば血圧は上昇しますので注意が必要です。腎臓の上にある副腎に褐色細胞腫という腫瘍ができると血圧を上昇させる物質が過剰放出され、血圧上昇と頭痛を繰り返すことがあります。
以前から頭痛があり鎮痛薬を月に40錠以上も飲んでも頭痛が治りません。
ひどい片頭痛の方で「ひどくなると普通の鎮痛薬では効かなくて寝込んでしまうと困るから」と早め早めに鎮痛薬を服用するようになる方がいます。気が付くと予防的に服用したり1か月に何十錠も服用したりするようになることもあり、これは薬物乱用頭痛(服薬過多による頭痛)になっている可能性があります。 早めに薬を飲むことは誤りではありませんが、薬を飲む回数が増えてしまいがちで、月に10日以上、頭痛薬を飲むようになると薬物乱用頭痛になる可能性がでてきます。痛みを制御するシステムに異常をきたして、痛みを感じやすい状態となって頭痛がひどくなり慢性的になります。頭痛の悪化→過剰な服薬→脳の痛み制御システムの異常→頭痛のさらなる悪化という悪い連鎖が起こりますので、早めに専門医の受診をお勧めします。薬の見直しやいろいろな工夫を行い対処していきます。
ジムでウェイトトレーニングすると頭痛が起こります。
一次性運動時頭痛(一次性労作性頭痛)とよばれるもので、身体的に激しい運動を続けることによって誘発されます。一気に力を入れて物を持ちあげた時などに頭痛が起こったりします。この頭痛は命に関わる危険な頭痛ではないのですが、初めて起こった時は、くも膜下出血、動脈解離、可逆性脳血管攣縮症候群(RCVS)などの二次性頭痛がないことを確認する必要があります。繰り返し起こる場合は、一時的に運動を軽くしたり、控えたりする必要があります。労作や運動の前に予防的に鎮痛薬を服用することで予防できます。
この一次性運動時頭痛は片頭痛に似た特徴を持ち、片頭痛の予防薬が有効な場合がありますので、片頭痛として治療します。まずは、専門医に相談してみてください。
シャワーを浴びるたびに頭痛が起こります。頭部CTで異常なしと言われたけど不安です。
頭痛外来に時々こういう方がいらっしゃいます。雷鳴頭痛と呼ばれる突発的に起こる1分以内にピークに達する重度の頭痛の可能性があります。脳動脈瘤の破裂時のくも膜下出血と症状からは区別がつかないため、脳内の重篤な疾患による雷鳴頭痛でないことを確認する必要があります。雷鳴頭痛を起こす疾患として可逆性脳血管攣縮症候群(RCVS)があります。妊娠や分娩後、薬物などが誘因になることがありますが、シャワー・入浴・性行為・労作・排便あるいは感情がしばしば引き金になります。中年女性に多いともいわれています。発症時には脳血管の攣縮の所見がみられないといわれており適正な時期に評価する必要があります。まれに脳梗塞やくも膜下出血を伴うことがあるとされていますが、RCVS自体が可逆性で1~3か月の経過で落ち着いてくるといわれています。カルシウム拮抗薬が有効との報告があり、誘因の除去などの生活指導を行います。
季節の変わり目に毎晩決まって片目の奥に激しい頭痛が起こり涙が出ます。
群発頭痛の可能性があります。正確な診断が必要ですが、診断されるまでに数年かかることもあります。群発頭痛は起こりはじめると片方の目の奥が激しく痛み、涙が出たり眼が充血したり鼻水が出たり鼻がつまったりと自律神経症状を伴うのが特徴です。一回の頭痛の持続時間は15分から3時間です。深夜から明け方に痛くなることも多いようです。頭痛の時期がやってくるとこの頭痛が一日に1,2回ほど起こり1,2か月ほど続きます。群発頭痛は我慢できないほどの頭痛が続きますので専門的な治療が必要です。イミグランの注射薬や点鼻薬が有効です。数週間から数か月で群発期が終われば、しばらく頭痛のない時期が続き、1,2年に1回程度でまた頭痛が群発する時期が来ます。現時点で群発頭痛が一生起こらないようにする方法はありませんが、群発期に楽にしのげるように治療するのが現実的であり具体的な治療は頭痛外来で相談してみてください。群発頭痛は飲酒により誘発されますので控えましょう。喫煙も刺激になるといわれており、睡眠不足にならないように注意しましょう。
マスクをしていると頭が痛くなります。
新型コロナウイルスの問題でマスクが外せない状況ですが、マスクをしていて頭痛が起こる可能性があります。最近マスクによって引き起こされる頭痛「マスク頭痛」に悩まされている人が増えています。3つの要因が考えられます。マスクをすることにより二酸化炭素濃度が増えること、熱がこもること、マスクの耳にかけたゴムにより周辺の筋肉のコリが起こり頭痛になりやすいといわれています。マスクをしているといったん吐いた空気を再度吸う状態となり、血液中の二酸化炭素濃度が蓄積され濃度が上がります。脳の血管は酸素濃度が上がると収縮し、二酸化炭素濃度が上がると拡張する性質を持っています。脳血管が拡張すると頭痛が起こりやすくなります。マスクを長時間つけっぱなしでマスクの内側は熱がこもって40度以上に上がってしまいます。熱い空気は息苦しく、また、呼気温が上がると口周辺の血流量が増え頭の中の血管が拡張すると頭痛になりやすくなります。マスクのゴムを耳にかけていると、徐々にこめかみの筋肉やあごの筋肉に負担がかかります。またマスクをしていることで表情筋も使わなくなりコリが生じるともいわれています。マスクをつけないで出かけることは難しいのですが、人との距離が保てて感染の心配のない場所で少しだけマスクを外すことで頭痛を防ぎやすくなります。マスクと上手に付き合いながら「マスク頭痛」を防いでいきましょう。
右後頭部に瞬間的にズキンと激しい痛みが繰り返し起こります。
後頭神経痛の可能性があります。当院の頭痛外来を受診される方の中でも比較的頻度の高い頭痛です。「頭にも神経痛があるんですね」とびっくりされる方や痛みで顔をしかめるほどの方もいらっしゃいます。片側に起こることが多く、首の後ろ側から後頭部から頭頂部(頭のてっぺん側)にかけてズキッとかビリッとか一瞬電気が走るような痛みを繰り返します。首を動かすと痛みが起こったり、神経痛がひどいと頭の皮膚に触れただけでビリビリと痛むことがあります。後頭神経痛は頭痛というよりは末梢神経が刺激され漏電するような痛みです。後頭神経は頭を支える首の筋肉の間から皮膚の表面側に出ているため、筋肉による圧迫を受けやすいと考えられています。デスクワークでの前傾姿勢やゆがんだ姿勢や肩こりや後頚部の筋緊張が高まっても起こります。稀ですが帯状疱疹ウイルスが原因のことがあります。水ぶくれなどの皮疹が痛い側の頭の髪の中に隠れていることがありますので注意してください。後頭神経痛は危険な頭痛ではありませんが、椎骨動脈解離や特殊な頸椎疾患の痛みなどと紛らわしいこともあり心配な方は受診することをお勧めします。
危険な頭痛!二次性頭痛の特徴を教えてください。
危険な二次性頭痛であっても頭痛を唯一の症状として歩いて受診する方がいます。危険な二次性頭痛の原因としてくも膜下出血、脳動脈解離、脳静脈洞血栓症、下垂体卒中、可逆性脳血管攣縮症候群(RCVS)などがあります。その他、脳出血や脳梗塞や髄膜炎・脳炎やその他全身感染症、脳腫瘍や急性水頭症、薬剤による頭痛、外傷などがあります。
特徴は・発熱を含む全身症状・意識がもうろうとして麻痺などの神経症状を伴う頭痛・急または突然に発症する頭痛・50歳以降に発症する頭痛・頭痛パターンの変化又は最近発症した新しい頭痛・姿勢によって変化する頭痛・くしゃみ、咳、または運動により誘発される頭痛・痛みや症状が進行する頭痛、非典型的な頭痛・妊娠中または産褥期の頭痛・頭のけがの後におこった頭痛・鎮痛薬の服薬しすぎや新しく使った薬に伴う頭痛などです。急な頭痛やいつもと違う頭痛や進行する場合や神経症状を伴う頭痛など心配な時は医療機関での専門家の診療を受けることをお勧めします。