めまいでお悩みの方へ
めまいの症状でぐるぐる回る、ふらふらする、くらっとするはどうして起こるの?めまいで悩んでいる方にとっては深刻でうっとうしい症状で頭の中で何か起こっているんじゃないかと心配になり、”なんとかしてほしい”と病院を転々としている方も少なくありません。
当院でのめまい診療
突然のめまいが起こり、つかまらないと歩けない、気分が悪いとなると不安になりますよね。めまいが一時的なもので治ることも多く、病院を受診しても「異常なし」といわれてどうしていいかわからないと思っている方も多いのではないでしょうか?めまいが長く続き治らずに困っている方もいらっしゃいます。めまいの代表的な病気にあてはまらず、めまいの診断が困難なことがあるのも事実です。良性のめまいのことが多いのですが、重篤な病気が潜んでいる可能性は常に否定はできません。
当院では、まずは「脳でおこるめまいではない」ことを高性能MRIで確認するようにしています。また、めまいが起こる前に風邪などないか、難聴・耳鳴がないか、薬の服薬歴、めまいのおこり方、めまいの様子、繰り返しているのか、めまいの持続時間、めまいに頭痛などの随伴症状がないかなど詳しい問診とその他の神経症状がないかの診察を行い、めまいの原因を絞り込んでいきます。めまいでお悩みの方はご相談ください。
めまいが起こった時に考えること:危険なサインと受診の目安
「突然景色がぐるぐるまわる」「ふらふらして足元がおぼつかない」等、そんな時、「このまま様子を見ていいのか?」「どこを受診したらいいのか?」不安になったことはありませんか?
「めまい以外の意識障害・頭痛・複視など神経症状があるか」は危険なサインで
「突然の聴力低下があるか」は受診を急ぐ必要があります。「めまいのひどさ」は危険なサインではないことがあります。
「
脳でおこるめまい(中枢性めまい)」・「
耳でおこるめまい(末梢性めまい)」・「
その他の原因で起こるめまい」の3つに分けてみていきましょう。
脳でおこるめまい(中枢性めまい)
脳出血・脳梗塞(特に脳幹や小脳におこったもの)
脳の血管が詰まって脳の細胞が死んでしまうのが脳梗塞や脳の血管が切れて脳内に出血するのが脳出血です。特に脳幹(のうかん)や小脳(しょうのう)に脳梗塞や脳出血を起こすとめまい・ふらつきの原因となります。さっきまで元気だった方でも突然起こるのが特徴です。
特徴
- めまいのみのこともありますが、頭痛や意識障害・複視(二重に見える)・手足のまひやしびれなどを伴うことがあります。
- 突然起こり、進行性に悪化することがあります。
- 中高年以降に発症し、もともと高血圧がある、めまい発症時血圧があがっていることがあります。
- 生活習慣病(高血圧・脂質異常症・糖尿病)をお持ちの方に脳梗塞がおこりやすいとされています。
- 稀ですがAICA(前下小脳動脈)と呼ばれる血管領域の脳梗塞で難聴とめまいの症状が起こり耳疾患と診断されることがあります。
- 脳幹梗塞の場合、発症当日に詳しい検査をしてもはっきりしないことがあります。
判断に迷う場合は、脳卒中を専門としている脳神経外科を受診してください。脳の病気は早期対応が重要です。「様子を見る」より「原因を除外する」方が安全で確実です。
椎骨動脈解離
脳の動脈(どうみゃく)に亀裂が入ることを脳動脈解離(かいり)とよびます。とくに脳の後方にある椎骨動脈(ついこつどうみゃく)に起こると、痛みやめまいふらつきの原因となります。若い方で特にきっかけもなく突然起こることもあります。
特徴
- 頸部痛・頭痛やめまいのみで発症することがあります。
- 突然起こり、頸部痛・頭痛やめまいのみで発症し、翌日~数日後に脳梗塞になったりくも膜下出血を起こしたりすることがあります。
- 椎骨動脈が小脳や脳幹を栄養する血管であり脳梗塞を起こすとめまいが起こることがあります。
- 比較的若い方に起こる傾向があります。
- 全く誘因がない、頸部の無理な動きや姿勢で起こることがあります。
椎骨動脈解離は早期発見し血圧の管理を厳重にする必要があります。出血や梗塞を起こすと専門的な治療や手術が必要になります。
椎骨脳底動脈循環不全
椎骨脳底動脈はバランス機能を有する脳幹や小脳に血液を送っています。特に動脈硬化などの原因でその血液の流れが悪くなると、めまいふらつきが起こります。
特徴
- 椎骨脳底動脈の動脈硬化による狭窄・閉塞により脳の後方(うしろがわ)の血の巡りが悪くなり、めまいふらつきが起こる状態です。
- 椎骨動脈は右と左にあり、片側だけの閉塞では起こらないことが多いです。
- 脳底動脈が突然閉塞した場合は重篤になる可能性があります。早期発見が重要です。
- 脳動脈硬化は生活習慣病(高血圧・脂質異常症・糖尿病)をお持ちの方におこりやすいとされています。
- もともと血管が細い場合があり、低形成(ていけいせい)と呼ばれるもので、その場合は心配ありません。
- 稀ですが、頚椎による圧迫で椎骨動脈の血流がわるくなることがあります。(例:Bow Hunter症候群など)
頭部MRA検査で血管の評価を行い、必要に応じて治療を検討していきます。大切な血管が詰まってしまう前に早期発見することが必要です。
脳腫瘍
脳腫瘍がめまいふらつきの原因となることがあります。比較的大きな腫瘍や腫瘍による水頭症で歩行障害を生じふらつきと自覚されることがあります。小さな腫瘍でも聴神経腫瘍でめまいふらつきが起こることがあります。
聴神経腫瘍の特徴
- 正確には、前庭神経鞘腫(しんけいしょうしゅ)と言います。
聞こえの神経(蝸牛神経)ではなく、バランスの神経(前庭神経)から発生するからです。
- 症状は、片側の聴力低下、耳鳴り、めまい、ふらつき、顔と舌のしびれや麻痺などです。
- 突発性難聴や原因不明のめまいふらつきの頭部MRI精査で発見されることがあります。
- 良性腫瘍なので治療を急ぐ必要はありません。
「何もしないで様子みる」「定位放射線治療」「開頭手術でとる」
耳鼻科からの紹介や原因がよくわからないめまいふらつきの頭部MRI精査で発見されることもあります。高性能MRIを用いて脳の病気を早期に診断することは重要です。「様子を見る」より「原因を除外する」方が安全で確実です。
耳でおこるめまい(末梢性めまい)
良性発作性頭位性めまい
当院を受診するめまいの患者さんで最も多くみられるのが「良性発作性頭位性めまい」です。本来前庭耳石器にあるべき耳石(じせき)が剥がれ落ち半規管(はんきかん)に入り込んで起こるめまいです。平衡感覚や回転運動を感知する三半規管はリンパ液に満たされていて、耳石が入ることでその動きの乱れが生じ脳に間違った情報が伝わり起こります。じっとしていれば何ともないが、起床時に起きあがったり、寝ようとして横になったり、寝返りする、下向いたり・上向いたりと頭の位置が動くときに起こります。難聴や耳鳴はありません。更年期や骨粗しょう症との関連性も指摘されています。
特徴
- 中年から高齢の女性に多くみられるめまいです。
- 30秒から1分くらいでおさまります。
- 朝起きる時、枕に頭を付けて寝る時、寝返りなどの時に起こります。前かがみで靴を履く時・点眼や洗濯物干しで上を向く時に起こることもあります。
- 難聴や耳鳴はありません。
- 頭部外傷を契機に起こることがあります。
- 数日から2週間ほどで軽快し、最初はくるくる、治る過程でふわふわしためまいとなります。
- 繰り返したり、長期化したり、診断が困難な場合に難治性めまいとされることがあります。
良性発作性頭位性めまいは基本的には心配な病気ではありません。石を早く溶かしてしまうか、元の場所に戻してしまえばめまいを治すことができます。
予防は、横になってテレビを見ない、パソコンやスマートホンなど長時間前かがみで使用しない、耳石が三半規管に落ち込みやすい低い枕を使わないなどです。頭の位置を高くして寝ることも予防につながります。剥がれ落ちた耳石を元の位置に戻して、かくはん、吸収させる運動療法を行うほか、自宅でできる「めまい体操」などの運動療法が指導されます。
日ごろから頭の怪我をしないように気を付けて、運動を心がけ、特に中高年の女性は骨粗しょう症の予防に努めることも大切です。繰り返しやすい病気なので、症状が疑われる場合、専門医に相談しましょう。
メニエール病
めまいといえばメニエール病といわれるぐらい、この病名は一般的によく知られています。「めまい=メニエール病」と誤解している方も多くみられます。
メニエール病の本態や原因についてはわかっていないことが多く、何らかの原因で内耳にあるリンパ液が増えて水膨れ(内リンパ水腫)を起こして発症すると考えられています。誘因としてはストレスや不規則な生活、運動不足などがあげられます。回転性めまいが起こるのが特徴で、必ず難聴(耳が詰まった感じになることもある)と耳鳴りを伴い3つの症状を繰り返しながら少しずつ聴力が衰えていきます。最近では几帳面な性格が原因となっているケースが多いことが注目されています。
特徴
- 30〜50歳代の女性に多くみられるめまいです。
- めまいの持続時間は10分程度から数時間程度。
- めまいの発作を反復する:「くり返す」エピソードが重要。
- 難聴や耳鳴があります。
- 発作時に左右どちらかに難聴。初期は低音域、繰り返したり・進行して中音域~高音域の難聴、さらに反対側の耳にも難聴。
- めまいもしくは難聴のどちらかだけの発症で「非定型」
メニエール病の原因となる内耳のむくみを軽減・改善するため、生活環境の見直しや薬による治療が行われます。メニエール病の治療は、利尿薬を用いて内リンパ水腫の軽減をはかり、抗めまい薬や内耳循環改善薬・ビタミン剤などを用いて症状をおさえます。また、体内の水のバランスを整える漢方薬も有効です。メニエール病の発作は、ストレスや心身の疲労が蓄積するほど起こりやすいといわれています。日常生活では無理をせず、リラックスすることを心がけます。予防には十分な睡眠やバランスのとれた食事をとるなど規則正しい生活をおくることや適度な運動、ストレス解消などが大切です。
「繰り返す」点が重要であり、一度きりの発作ではメニエール病と断定できません。メニエール病の初回発作時は突発性難聴との区別がつきにくいため、耳鼻科での専門的な治療をお勧めしています。また、耳鼻科での中耳加圧療法や手術を行う場合があります。
突発性難聴によるめまい
病名が示すように突然、前触れもなく片側の耳の聴力が大きく低下または消失する病気です。突発性難聴を発症した方の3~4割に回転性めまい、耳鳴を伴うことがあります。低音の聞き取りが悪くなるタイプの難聴では、最初に耳の詰まりを感じることが多いとされています。最大の特徴は、急激な片側性の感音難聴であり、原因が特定できないケースが大半です。原因は完全に解明されていませんが、ウイルス感染、血流障害、自己免疫異常などが考えられています。
めまいが生じるケースや、めまいが先行して聴力の低下に気が付くケースもあります。突発性難聴は早期診断と早期治療が重要な病気です。耳鼻科での専門的な治療をお勧めします。
前庭神経炎によるめまい
バランス感覚をつかさどる前庭神経に炎症が起こることが原因です。めまいが起こる数日前くらいに感冒症状があったり、風邪ひいたりしている方が少なくないことからウイルス感染が原因とする説もあります。突然、吐き気や嘔吐とともに、立っていられないほどの激しいめまいが起こります。激しい発作は一度ですが、ぐるぐる目が回る回転性めまいが2〜3日続き、その間は起き上がることが困難になり食事をとることもままなりません。1週間ほどで通常の生活ができるようになりますが、軽いめまいやふわふわ感が2~3か月、人によってはさらに長期間のこることがあります。通常は、難聴や耳鳴りは伴いません。
強いめまい感や吐き気のある急性期は、できるだけ安静を保ち、めまいを抑える薬や吐き気止めの薬で治療します。薬が飲めない、または、受診時2~3日食事がとれていない場合など点滴して治療をすることがあります。起き上がれないほどの強い症状が持続する場合は入院して治療をすることがあります。
持続性知覚性姿勢誘発めまい
突然めまいが起こり、片方の耳が聞こえなくなり、それが3~4回続いた後に、症状は治まるものの、ふわふわしためまいやふらつきが3か月以上続く、というようなものです。3か月以内の場合は急性期のめまいとの境界が判別しにくいことから、3か月以上続くという点がPPPDの診断基準の一つとされています。本人は仕事を満足にできず、生活の質も低下する状況があるにもかかわらず周囲からは理解されないことも多く患者さんにとってはつらいめまいのひとつです。
特徴
- ふわふわした感じや不安定感、非回転性めまいが3か月以上持続。
- ぐるぐる目が回るような回転性めまいではない(非回転性めまい)
- 症状は持続しているが、強さに増悪・軽減がある。
- 次のような時に悪化しやすい傾向あり
- 立つ、歩くなど能動的な動きをしたとき
- 自分で急に体を動かしたとき
- 乗り物に乗る、人ごみに押されるなど受動的な動きをしたとき
- 流れる文字や動画、テレビや映画で激しい動きのある画面といった、複雑な視覚パターンのブレの多い画像などの視覚刺激を受けたとき
PPPDの発症や悪化の要因の一つに、ストレスや疲労があると考えられています。日常生活からストレスを完全に取り除くのは難しいものの、自分なりのストレス解消法を見つけたり、睡眠をしっかりとるよう心掛けたりすることは大切です。
確立した治療があるわけではありませんが、それぞれの症状に合わせて次のような治療法を用いられています。
抗うつ薬:うつ病がなくてもめまい症状や浮遊感の軽減に有効であるとの報告があります。
認知行動療法:うつ病の治療として、現在はストレスの軽減や気分の改善や精神疾患の治療など、多岐にわたって応用されています。PPPDにおいてはめまいに対する不安やストレスの軽減が期待されます。
前庭リハビリ:内耳の一部出から他のバランスをつかさどる前庭の回復メカニズムに働きかけ、めまいや平衡障害を改善するリハビリテーションです。視線安定訓練、バランス訓練、歩行訓練などを、症状の程度に応じて段階的に行います。
前庭リハビリは、医師や理学療法士などの専門職の指導のもとに行うのが基本です。PPPDの症状によっては、リハビリで悪化するケースもあるので注意しましょう。耳鼻科での専門的な治療をお勧めしています。
その他の原因で起こるめまい
心疾患に伴うめまい
めまいや失神、立ちくらみ、目の前が真っ暗になる眼前暗黒感が、心臓のポンプ機能の低下や血圧の急激な変動が原因で、脳への血流が一時的に不足することで起こることがあります。脳や耳の病気ではなく、循環器領域の病気が原因のことがあります。心臓の動くリズムが乱れる不整脈、心臓の中にある弁がうまく働かくなる弁膜症・心筋症、血圧調節の失調などにより、心臓から脳への血流が不十分や一時的に途絶えて失神やつよいめまいがおこることがあります。
軽度のめまいだけで自然に回復する場合もありますが、突然の失神、繰り返す失神、胸痛や動悸や息切れを伴う失神は、命にかかわる疾患がかくれている可能性があるため、早期の受診が必要です。
起立性低血圧・神経調節性失神に伴うめまい
立ち上がった際に血圧が急低下して脳血流が減少し、めまいや立ちくらみ・失神を起こします。齢者、脱水、降圧薬服用中の方高にみられることがあります。自律神経障害があり血圧の調節がうまくいかなくなるパーキンソン病などの神経変性疾患でも起こりやすいことが知られています。若い方でも、長時間立ちっぱなしや強い痛みや精神的ショックで、血圧が低下して失神する神経調整性失神(血管迷走神経反射)があります。急激な血圧低下は転倒による受傷など二次的な被害を招くことがあり、注意が必要です。
生活習慣病やその他の全身的な原因に伴うめまい
高血圧、糖尿病による神経障害、自律神経の乱れ、貧血、低血糖、あるいは服薬しているお薬の影響など、全身のコンディションがめまいに直結することがあります。また、睡眠時無呼吸症候群によって夜間の酸素不足が続くと日中のふらつきや倦怠感の原因となる場合があります。通常はこのような病態で起こるめまいは、かかりつけ医がいることが多く早めに相談することをお勧めします。
頸性(けいせい)めまい
頸性めまいは、脳や耳の異常ではなく、首のこりから誘発されるめまいのことです。頸部の動きに誘発されてふわふわしたり、ぐるぐる回るめまいが起こったりします。歩行時もふわふわ雲の上を歩いているような感覚になることもあります。首こりから自律神経に影響を及ぼし、平衡感覚が低下したり、頚椎の変形によって動脈が圧迫され、バランスをつかさどる神経や血流が悪くなることで起こる場合もあります。
頸部の骨や筋肉、じん帯の異常によって引き起こされることが主な原因だといわれています。頭部MRIや耳の検査では全く異常が出ません。例えば肩や首に常に負担がかかるような作業(前傾姿勢での長時間のパソコン作業やスマートホン操作、あみものや農作業など長時間同じ姿勢でのあみものや農作業など)、首にけがなどでダメージを負った経験のある方などに発症するケースもあります。
頸性めまいの診断基準はなく、患者さんによって症状や程度は様々で、複雑に複数の要因が重なり合っている場合が多く、明確な原因が突き詰められないことも多くあります。
正しい姿勢での作業を心がけていただいたり、適切に休憩するなどの生活指導を行います。頸部の動きで誘発されることがあり、首を動かさない頭痛学会推奨の頭痛体操をお勧めすることがあります。適度な運動やストレス解消、十分な睡眠も有効です。後頚部筋群の緊張をとるお薬を使って治療することもあります。
片頭痛関連めまい:前庭性片頭痛
めまいの原因が実は片頭痛だったと聞いてびっくりしますよね。
前庭性片頭痛はめまいの中で5~15%程度を占めるともいわれており、決して少なくありません。原因不明の反復するめまい、めまいの薬が効かない難治性めまいの中に隠れている可能性があります。
片頭痛の患者さんが多い当院ではよくみるめまいです。また、耳鼻科での受診で耳に異常がないよ、脳の検査もしておいたらと受診する方、メニエール病として治療を受けている方、めまいで受診した際に頭痛持ちであることが判明した方など様々です。片頭痛は、頭痛発作を繰り返す疾患で、4〜72時間持続し、片側性・拍動性(ズキンズキン)の頭痛で、中等度以上の強さがあり、日常的な動作により悪化することが特徴で、悪心(吐き気)や光音過敏を伴うことも多いとされています。片頭痛の方はめまいを起こしやすいことが知られており、頭痛とめまいが同じタイミングで起こっていることが問診や頭痛ダイアリーでわかったりすることがあります。
めまいの時にこんな頭痛を伴っていませんか?子供のころから乗り物酔いしやすく、他人の運転の車や長距離バス、船は苦手というのも特徴です。
特徴
- 繰り返す前庭症状「めまい発作」が、これまで5回以上ある。
- それぞれの発作が中等度から重度で、日常生活に支障~寝込む。
- 持続時間は5分から72時間症状は持続する。
- 現在または過去に片頭痛の病歴がある。
- めまい発作の半分以上で片頭痛らしい特徴を伴う。
前庭性片頭痛の治療は、片頭痛の治療に沿って、生活指導、急性期治療と予防療法を患者さんごとに組み合わせて行っていきます。
睡眠不足、ストレス、疲労、気圧の変化、月経周期、空腹、カフェイン、光や音の刺激など、症状の誘因や悪化させる要因を確認し生活指導を行います。
片頭痛・めまい発作時には、頭痛・めまい・吐き気などの症状を和らげる治療を行います。片頭痛としての頭痛が強い場合は片頭痛専用の薬を検討し、吐き気やめまいがつよい場合は症状を抑える薬を併用します。発作の頻度が多く、支障度が高ければ、片頭痛の予防薬を使います。片頭痛の頻度や程度が軽減するとめまい症状も改善していくことが多いです。漢方を併用して治療を行うこともあります。
患者さんは耳鼻科ではめまいのことを話され、脳神経外科で頭痛の診療を受けたりしているため、片頭痛関連めまい(前庭性片頭痛)が見逃されている可能性があるかもしれません。前庭性片頭痛は専門医にご相談することをお勧めします。
心因性めまい
明らかな原因がないのに、座っていても、じっとしていてもふわふわしている感じがする場合には心因性めまいの可能性があります。一般的には抑うつ気分や不安な気分になっていることが多いのですが、必ずしもこのような精神的な障害がなくても、心因性めまいになっていることがあります。
これは脳内のセロトニンというホルモンが不足した状態になると生じると考えられています。セロトニンは過労やストレスによって減少します。そのような状況では、脳が過敏になり、実際には揺れていないのに揺れていると感じてしまう異常感覚を感じるようになります。すると、それがまたストレスになり、悪循環になります。セロトニンは、バランスの情報伝達にも間接的に関与しているとの報告もあります。抗うつ薬を少量使用することによって心因性めまいの症状がよくなることがあります。また、リハビリを行うことでもセロトニンを増やすことができます。睡眠、運動、そして笑顔が大切です。
加齢性めまい
加齢性めまいとは、60歳以上の方に3か月以上つづく慢性的なふわふわ感や不安定感です。身体のバランスは耳・目・体性感覚(筋肉や関節など)からの情報が脳でまとめられ、脳からの指示が下肢の筋肉などに伝わり維持されています。これらの組織が老化すると、めまいやふらつきが起こりやすくなります。
耳の三半規管や耳石器は加齢により感覚細胞が減っていき、耳石器は50歳以上、三半規管は70歳以上になると加齢変化が現れるといわれています。目は調節力の低下で老眼を生じ、目の動きも低下します。体性感覚も老化で変化していきます。さらに下肢の筋力低下によりバランスを維持することが難しくなります。めまい・ふらつきのために転倒することや、歩行に問題を生じ行動量が減ることもあり、サルコペニアやフレイルの一因となります。
パーキンソン病などの神経変性疾患や脳腫瘍や脳卒中や脊椎や関節疾患などを否定する必要はありますが、明らかな原因がなく加齢に伴いふらつき・めまいが起こります。
このような慢性的なめまいやふらつきには、頭や目を動かして耳と目を鳴らすめまいのリハビリに加えて、転倒予防のために下肢筋力増強を目的としたトレーニングが有効です。具体的には立位訓練・平衡機能訓練として、つま先立ちや片足立ち、また歩行訓練などによる筋肉増強がよいといわれています。
めまいに関するQ&A
- ひどいめまいがして病院を受診しましたが異常なしと言われました。
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めまいはつらい症状でありながら、検査所見と症状が一致しにくい病気です。医療機関を受診して聴力が落ちてなければ異常なしとされる場合もありますし、頭の画像検査(CTやMRI)をして脳梗塞や脳腫瘍などなければ「心配ないです」と説明を受けることも少なくありません。「異常なし」「心配ないです」という説明は困っているめまいの症状の説明にはなっていないのですが、一部の患者さんは検査結果で問題がないことを聞いて安心され、不安やストレスが解消されめまいが改善する方がいるのも事実です。もう一つの異常なしの問題は、脳梗塞によるめまいの場合です。脳幹と呼ばれる部位に小さな脳梗塞を起こすと発症して間もないときに脳梗塞病変が捉えられないことがあります。そこで専門医による病歴聴取や診察所見からの診断が重要になります。
- めまいの性状から診断することはむずかしいのですか?
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診断が困難な場合や特徴がわかりにくいこともありますが、次のようなことに気を付けて診ていきます。発症が急なのか慢性的な経過なのか、1回限りの発作なのか反復性なのか、めまいの持続時間や聴覚症状(蝸牛症状:難聴、耳鳴り、耳閉塞感など)の有無、めまいが起こるきっかけ(誘因)の有無や頭痛などの随伴症状があるのかなどを組み合わせることである程度の診断をしていきます。
急性のめまいで聴覚症状(蝸牛症状:難聴、耳鳴り)を伴う場合は突発性難聴かメニエール病を疑います。突発性難聴は1回のみでメニエール病は繰り返します。聴覚症状を伴わず1分以内におさまる回転性めまいは良性発作性頭位性めまい症、数日ほど持続する回転性めまいで発症前に風邪症状があれば前庭神経炎など疑います。寝る起きる寝返りをするなどの一定の頭位で起こる場合は良性発作性頭位性めまい症、首の動きや捻転でめまいが起これば頸性めまいを疑います。反復性めまいで片頭痛を伴えば片頭痛関連めまいと考えます。めまいに手足のまひやしびれ、嚥下障害など神経症状を伴えば脳の病気を考えます。
- 危険なめまいはどのようなめまいですか?
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危険なめまいとは頭の中の病気で生じためまいです。見極めるポイントはめまい以外の症状の有無は重要です。めまいの強さや持続時間はあまり関係ありません。吐き気や嘔吐も耳由来のめまいでも起こりますので区別には役に立ちません。めまいを起こす脳の病気の代表的なものが脳梗塞です。主なものは小脳梗塞、脳幹梗塞です。小脳梗塞患者さんの3/4では回転性めまいないしは浮動性めまいを訴えます。吐き気・嘔吐・歩行障害が半数にみられます。頭痛は1/3にみられます。脳幹梗塞では、めまい以外に顔面の温度や痛みの感覚が麻痺したり、嚥下障害(呑み込みにくい)といった症状がでることがあります。また、脳梗塞で聴覚症状が出現することがあります。重症の場合は意識がぼっとなってくる意識障害がおこることがあります。高齢者で高血圧や脂質異常や糖尿病などの動脈硬化の危険因子がある方は注意が必要です。若い方では椎骨動脈解離(後ろ側にある動脈)による脳梗塞のこともあり後頚部から後頭部の痛みを伴う場合は速やかに医療機関の受診をお勧めいたします。
- ひどいめまいがして頭が痛くて嘔吐しました。血圧が190と高い・・
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高血圧をお持ちの中高年の方が突然の頭が痛くなり目が回り歩けず家族に連れられて受診することがあります。吐き気があり何度か嘔吐し麻痺はないのですがふらついて歩けません。受診した際に血圧が190/100と異常高血圧を認めました。頭部の精密検査で小脳出血でした。高血圧性脳出血の約10%程度を占めるといわれています。日中活動時に起こることが多く、突然のめまい、激しい頭痛、嘔吐で発症します。小脳症状で手足のまひはでませんが、立つことができず歩行できなくなることがあります。意識の障害があれば救急の対応が必要です。
- 朝起きるときにぐるっと目がまわるめまいがしました。しばらくするとめまいはとまります。
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めまいの原因で比較的多いのが良性発作性頭位性めまいです。起き上がりや寝転んだり、うつむいたり寝返りをした際に回転性のめまいが生じます。めまいは数秒から30秒程度で何分も続くことはありません。同じ位置に頭を向けたり同じ動作を繰り返すと再び起こります。メニエール病と違って難聴や耳鳴りは伴いません。前庭にあるべき耳石が三半規管に入ることで起こるといわれています。頭部打撲後や長時間同じ姿勢で寝た後に起こることがありますが、多くの場合は耳石の滑落の原因は不明です。好発年齢が中年や中年以降であることから加齢現象とも考えられています。経過としては回転性めまいが1、2日から数日で消失した後にふわふわしためまい感が1、2週間続き完全に回復することを説明すると患者さんは安心していただけます。時に回復が遅れたりして1〜数か月かかることもあったり再発することもあり治療に難渋することもあります。
- 眼がぐるぐる回り、耳の聞こえが悪くつまった感じがして耳鳴りがします。
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耳鳴りや耳閉側感を伴って繰り返し激しいめまい発作を起こすメニエール病やめまいと激しい耳鳴りと突然の聴力が低下するような状態の突発性難聴は耳鼻科での専門的な治療をお願いしています。ポイントはめまいに聴力低下や耳鳴を伴っているかです。特に突発性難聴は耳鼻科的な救急疾患と認識する必要があり数日以内には治療を開始したほうがいいとされています。稀ですが聴力低下を主な症状として急性発症した内耳を栄養している小脳動脈の閉塞による脳梗塞のこともあります。急性発症ではないのかもしれませんが、あるとき携帯電話を反対側で聞いた時に聞こえが悪いことに気が付いた聴神経腫瘍の患者さんもいらっしゃいます。
- 以前から頭痛持ちでめまいが起こると決まって頭が痛くなります。
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普段は何ともないが時々めまいの発作があり、その後ふわふわした感じが数時間から3日ほど続きます。以前から頭痛もちで頭痛の特徴が片頭痛のかたに起こるめまいのことがあります。頭痛診断では前庭性片頭痛で片頭痛関連めまいと呼ばれるめまいです。難治性めまいの患者さんにかなりの割合で含まれていることが分かってきました。片頭痛の6割弱にめまいが起こっているとの報告もあります。片頭痛の予防薬で片頭痛の治療がうまくいくにつれてめまいが改善することがあります。頭痛とめまいを持つ患者さんを診療する際には頭痛のみ、めまいのみにとらわれずに双方向からアプローチしていくことが重要と考えています。
- 耳鳴りがします。悪い病気がないですか?
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「耳鳴り」は外界からの音の刺激はないが、自覚的に音を感じる現象です。自覚しているかは別として難聴があることがあります。加齢性の難聴が最も多いのですが、薬剤性内耳障害などは感音性難聴となります。キーンというような高音性耳鳴りは感音性難聴に伴うことが多いようです。時に耳鳴りの訴えになるのですが、実は血管雑音を耳鳴りと自覚して受診することがあります。ザッザッと脈と同じリズムで音がすると訴えます。動脈硬化やひどい肩こりや血液の流れに過敏に聞こえる方も耳鳴を自覚されることがあるように思います。稀ですが耳の後ろに聴診器を当てるとザーザーと音がする場合は硬膜動静脈瘻(脳や首の血管の病気をご参照ください)という病気を疑います。
- こどもがめまいを訴えるのですが大丈夫ですか?
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めまいと言えばメニエール病と思っている方が多いのですが、こどもに起こることは少ない病気です。めまいが起こってないときはなにも症状がない場合は良性発作性めまいの可能性があります。健康上問題がない小児におこります。繰り返し起こる短時間の回転性めまいが特徴で、発作は前触れなしに起こり自然に軽快します。随伴症状・徴候として1.眼振(眼が揺れている)2.運動失調3.嘔吐4.顔面蒼白5.恐怖の少なくとも1つを伴います。回転性めまいをもつ年少児がぐるぐる回る症状を説明することが難しいかもしれません。発作的な落ち着きのなさがめまい発作のこともあります。めまいをおこしやすい脳腫瘍やけいれん発作や前庭障害などの耳の病気などほかの病気がないことが条件です。一度ご相談されるとよいと思います。