脳卒中
脳卒中にどのような思いをお持ちですか?当院を受診される多くの方が脳卒中を心配されています。脳卒中は日本人の死因の上位で寝たきりになる疾患の第1位なのです。私たちが最も想像したくない自分の老後、それは「寝たきりの自分」ではないでしょうか?いつまでも若々しく笑顔で過ごすそんな老後を実現したいものです。当院は脳卒中を予防することに力を注いでいます。そのためには生活習慣病の管理が必要です。

脳の組織が壊れる脳卒中には
・脳の血管が詰まって起こる脳梗塞
・血管が破れて出血する脳出血くも膜下出血
があります。
脳卒中の5つの症状
□片側の手足・顔面半分の麻痺・しびれがおこる(手足のみ、顔のみの場合もあります)
□ろれつが回らない、言葉が出ない、他人の言うことが理解できない
□片方の眼が見えない、視野の片側が欠ける、ものが二重に見える
□力があるのに立てない、歩けない、ふらふらする
□経験したこのないような激しい頭痛がする

突然起こる症状に要注意です!

脳梗塞とは

「ラクナ梗塞」・「アテローム血栓性脳梗塞」は脳の血管が動脈硬化で狭くなって起きます。「心原性脳塞栓症」は脳の外から流れてきた血栓が脳の血管に詰まって起こります。心房細動などの不整脈や心疾患が原因で起こり、梗塞巣が大きく、最も重症になりやすいタイプです。

【脳梗塞を引き起こす因子】
高血圧・脂質異常症・糖尿病・心房細動などの病気や、喫煙・多量飲酒などの生活習慣に注意!
脳梗塞で“頭痛”のケースは少ない
脳の病気なら頭痛がおこるのでは?と思いがちですが脳梗塞の約9割で頭痛は起こりません。頭痛がないからと言って放置しないで受診することが重要です。頭痛が起こる脳卒中の代表的な病気はくも膜下出血です。
脳梗塞は夏に多い
夏は汗を多くかき、気が付かないうちに体内の水分が不足がちになります。脱水状態が起こると、血液の粘度がまして血栓ができやすくなったり、血液の流れが悪くなり脳梗塞の危険性が高まります。
脳梗塞の前兆を見逃さない
脳梗塞は前兆があることも少なくありません。本格的に発症する前に脳梗塞と同じ症状が一時的に起こるもので一過性脳虚血発作(TIA)といいます。TIAはいわば脳梗塞の”がけっぷち警告“。TIAの症状は通常30分以内に自然に消失しますが、脳梗塞を防ぐためには早急な治療が必要です。6人に1人が3か月以内に脳梗塞を発症するといわれています。

脳梗塞の再発予防 ~3つの柱~

1.血栓の予防
抗血栓療法
脳梗塞の原因になる血栓ができないようにする治療で、抗血栓療法には抗凝固療法抗血小板療法の2つがあり、脳梗塞の原因によって薬が変わります。
・抗凝固療法 心房細動などで心臓内の血流がよどんでできる血栓形成を抑えます
・抗血小板療法 動脈硬化が原因で作られる血栓形成に重要な働きをする血小板の働きを抑えます
2.危険因子の管理・生活習慣の改善
・高血圧 ラクナ梗塞・抗血栓療法中 130/80mmHg未満
脳の太い血管が細い場合 140/90mmHg未満
・脂質異常 LDL(悪玉コレステロール)120mg/dL未満
HDL(善玉コレステロール)40mg/dL以上
中性脂肪 150mg/dL未満
血圧管理で脳出血の危険性を下げましょう
脳梗塞の再発予防では、血圧管理は非常に大切です。動脈硬化を進行させない役割と、抗血栓薬を服用していると起こりやすい脳出血の発症の危険性を下げる役割もあります。抗血栓薬を服用しているときはできれば血圧を130/80mmHg未満に下げるようにしましょう。
・糖尿病 空腹時血糖 130mg/dL未満
随時血糖 180mg/dL未満
HbA1c7.0%未満
(これらは糖尿病の患者さんの治療目標と同じ)
・生活習慣の改善  
脳梗塞再発予防において生活習慣改善の柱になるのは、禁煙、節酒、健康的な食事、適正体重維持、運動の5つです。
3.定期検診
脳梗塞の再発が起きていないか、薬が効いているかなどの確認するために、家庭血圧の確認、採血、頭部MRI検査、動脈硬化の評価の検査など定期的な検査を行いましょう。
10年で2人に1人が脳梗塞を再発しています
脳梗塞の再発は発症してから1か月以内が最も再発率が高いですが、年数が経過しても再発の危険性はありますので、油断は禁物です。

生活習慣を見直しましょう!

□喫煙の習慣がある
□1日に平均すると2合以上のお酒を飲む
□メタボリック症候群と診断されている
□食事について塩分量や摂取エネルギーなどをあまり気にしていない
□運動はほとんどしていない
□「いびきがうるさい」と家族に言われる
□熱いお風呂が好き
□脳梗塞発症後、趣味をやめている
チェックの数が多いほど脳梗塞再発の危険性が高くなります。再発を防ぐため生活習慣を見直しましょう!

危険因子を減らせば減らすほど脳梗塞再発の危険性が下ります

脳梗塞の再発を防ぐには、高血圧、糖尿病、脂質異常、心臓病、喫煙、大量飲酒、運動不足、肥満、睡眠時無呼吸症候群といった脳梗塞の危険因子を減らすことが大切です。
危険因子をすべて管理できた場合には、再発リスクが80%以上も下がります。
脳梗塞再発予防において生活習慣改善の柱になるのは禁煙、節酒、健康的な食事、適正体重維持、運動の5つです。

脳出血とは

脳出血は主に「高血圧」が原因で脳の内部の血管(穿通動脈)が破れます。血の塊が脳の内部にでき脳の組織を圧迫して破壊します。麻痺などの神経症状が出ることが多く、場合によっては意識障害が出ることもあります。
高血圧が原因で過度の飲酒も危険因子です。

くも膜下出血とは

くも膜下出血は「脳動脈瘤」と呼ばれる脳の血管にできた瘤(こぶ)が破裂することでおこります。激しい頭痛や意識障害や呼吸障害が起こり、命にかかわることも少なくありません。
高血圧・喫煙・過度の飲酒は危険因子です。