こどもの頭痛

小児・思春期の頭痛

お子さんが頭が痛いと泣きながら訴えるとご両親は心配になりますよね。ましてや頭痛があるときに嘔吐したり、頭痛で学校に行けなかったりしていませんか?当院でご両親の頭痛を診ているとお子さんの頭痛で相談に来られることも多いようです。
風邪や発熱に伴う頭痛のこともあるのですが、最近はそうでないこどもの頭痛が増えています。保健室で休むほどの頭痛でもケロッとよくなったり、表現力に乏しい子供たちの頭痛は軽く考えられてしまう傾向があります。
頭痛外来を受診するこどもの頭痛はやはり片頭痛が多く、治療に難渋することが多い慢性連日性頭痛(慢性緊張型頭痛あるいは慢性片頭痛)です。
こどもの頭痛

小児片頭痛の特徴

・頭痛があっても短時間寝るとケロッと軽快することが多い
・必ずしも片側ではなく両前頭部を痛がることが多い
・緊張型頭痛様の痛み方の訴えのこともある
・小さいころは腹部症状の訴えがあり片頭痛に移行していくことあり
・乗り物酔いしやすい傾向があり
・ご家族が片頭痛であることが多い

片頭痛は小学生までは比較的軽い頭痛でも、中学生以降の思春期では成人と同じく生活支障度の高い頭痛が多くなります。小児の頭痛も誘因がありストレス、精神的緊張、炎天下での運動、天候変化、月経周期、空腹、食品などさまざまです。緊張やストレスは、実際にはそれらから解放された時(脱緊張期)に起こりやすく試験や試合が終わった時に頭痛の訴えがあることもあります。
規則正しい食生活や睡眠リズムが頭痛管理に有用であり、誘因を避けて生活リズムを整えることは重要です。頭痛が慢性化し難治化する併存症として心身症や自閉スペクトラム症があります。
こどもの片頭痛も適切な治療が必要ですので頭痛専門医を受診することをお勧めいたします。

難治な慢性連日性頭痛

もともと片頭痛を経験しているお子さんが思春期になって何らかのストレスがかかり頭痛が慢性化してくることがあります。強い頭痛が月15日以上起こり、生活に支障をきたすことが多くなります。この慢性連日性頭痛は心理社会的要因が関与し、薬物治療に抵抗し難治です。
慢性化の要因には、もともとの患児の性格や学業の問題、学校や家庭における人間関係の葛藤などがあります。中学生からが要注意で、学業の問題では、小学生高学年から熟通いをし、中学受験をして入学後成績が振るわなくなり頭痛で登校できなくなったりします。また、きびしいスポーツの部活や規律の強い吹奏楽部などで慢性緊張状態が持続し慢性頭痛になることもあるようです。また、まじめで反抗期のない、いわゆるよい子が小学校より厳しい中学で先生や友達との人間関係をうまく築けないことから環境に適応できず強い頭痛を訴え不登校になったりします。家庭の問題では家族の不仲や親の過干渉が原因のこともあります。急にストレスがかかったり、長い間のストレスが何かをきっかけに表面化して頭痛が慢性化します。ときどき起立性調節障害が併存していることもあり注意が必要です。
当院では子供の頭痛診療も行っております。まずはご相談ください。
精神疾患が併存していなくても頭痛が慢性化し繰り返し訴える場合は生活指導などの非薬物療法が重要なこともあります。患児に起きている小さな変化をとらえ保護者と共有し、少しずつ頭痛があってもやれることを行ってもらい喜びほめていくこと(支持的精神療法)を行います。そうすることにより自己評価が下がらないようにしていく必要があります。

こどもの頭痛に関するQ&A

小学生のこどもが、運動会の帰りに頭が痛くなって具合が悪くなりました。
こどもの片頭痛の可能性があります。炎天下で運動したり、海水浴などに行ったりすると、帰るときに頭がガンガン痛くなり、車酔いしてぐったりして動けなくなったりします。運動会は体力的にも疲れるうえに日差しが強いところに長時間いると片頭痛が起こりやすくなります。
元気に遊んでいたのに急にぐったりして、頭痛や腹痛、嘔吐発作をおこすことがあります。その後はケロッとしてまた元気になります。こどもの片頭痛は短い時間で改善するのも特徴です。頭が痛くてつらそうにしているのに1〜2時間休んでいると自然に治ってしまう子もいます。乗り物酔いしやすいのも片頭痛のこどもの特徴です。
こどもが急に頭が痛いと訴え、腹痛や嘔吐したりするので心配です。
こどもの片頭痛の可能性があります。元気に遊んでいたのに急にぐったりして、頭痛や腹痛、嘔吐発作を起こすことがあります。その後はケロッとしてまた元気になります。小児期の周期性嘔吐症や腹部片頭痛は片頭痛に移行することが多いことが知られています。こどもの片頭痛は短い時間で改善するのも特徴です。
中学生のこどもが朝起きられなくて学校に行けないのですが、起立性調節障害と診断されました。どんな病気ですか?
こどもの成長期において身体の成長に自律神経の発達が追いつかない身体疾患と考えられます。思春期に発症しやすく、心理的なストレスで影響を受けやすいといわれています。起立に伴う血液のめぐりの変化をうまく調節できないために、めまいや立ちくらみ、動悸、腹痛、頭痛などの症状を呈します。立ちくらみ、入浴時の気分不良、朝起きられずに午前中の調子が悪いなどの症状や起立試験などから診断をしていきます。「朝起きられなくて、午後になると元気になる」「学校に行こうとすると腹痛や下痢を起こして行けない」など一見「怠け者」と誤解され、本人がつらい思いをしていることが多いのも事実です。今は自律神経の調節がうまくいかなくてきついけど、少し長くかかっても必ず通り抜けることを説明しています。
早寝、早起きなどの規則正しい生活を心がけ、睡眠リズムがくるいやすく夜型生活は病状を悪化させるため、テレビ、ゲーム、スマホなどの夜の使用を制限したほうがよいでしょう。また、起床時、起立時、入浴時にはゆっくり立ち上がるように指導します。低血圧傾向があることが多く水分・塩分を十分にとるように指導することもあります。学校に行けない場合も、可能であれば午前中に軽い運動や散歩などができるといいねと勧めています。
こどもの頭痛をどうしたらいいのかわかりません。なるべく薬も使いたくありません。
まずは頭痛の存在をきちんと認めてあげることも重要です。小児の片頭痛では薬物治療の前に非薬物治療が勧められます。明らかな誘因を避けて、十分な睡眠や規則正しい食事など生活様式の調整が必要です。明るすぎる光や点滅光などはさけて、強い日差しを避けるため野外では帽子やサングラスを勧めることもあります。教室の窓側の席ではなくて通路側に移してもらうこともあります。
睡眠不足が頭痛の誘因となるため、特に夜型の中高生では概日リズムを整えることが予防につながります。最近ではスマートフォン、ゲーム機、パソコンなどのブルーライトの暴露量が増えることや夜間の長時間の使用により不眠や睡眠相後退が起こり、病状悪化に関連しているともいわれています。その他、食べ物や低気圧、人込みなどが誘因になることがあります。お子さんでもストレスやストレスからの解放などでも頭痛が起こります。女子では月経に関連した片頭痛もあります。空腹も頭痛の誘因となることもあり受験生などで夜遅くまで勉強しているときに低血糖を防ぐためビスケットなどを食べてもいいよ、あるいは、朝食抜きにならないようになど指導することもあります。
基本的には早寝、早起き、朝ごはんといった規則正しいメリハリのある生活を心がけるようにします。